【対象読者】
ATEM Mini ISO機能でマルチカメラ収録を行っているプロフェッショナル
DaVinci Resolveではなく、使い慣れた EDIUS でマルチカム編集を行いたい方
長尺収録時の「ファイル分割」や「タイムコードのズレ」による同期地獄に悩まされている方
ATEM MiniシリーズのISO収録は非常に便利ですが、いざEDIUSにXMLをインポートして編集しようとすると、長尺収録時のファイル分割や、カメラごとの微妙な録画開始タイミングのズレにより、手作業での同期パズルを強いられることがあります。
この記事では、そんなポスプロ現場の悩みを完全に過去のものにする独自ツール**「UltimateSyncApp(究極同期マネージャー)」**を使用した、ストレスフリーな最新ワークフローを公開します 。
本ワークフローを実践するために、以下の環境を用意します 。
DaVinci Resolve (v.20等):ATEMプロジェクトファイルの読み込み・XML変換用
EDIUS 11:メインの編集ソフト(XMLインポート機能必須)
Python:本ツールを動かすための環境(Pythonのインストールは次の記事を参照してください。 https://www.python.jp/install/windows/install.html )
UltimateSyncAppV13.py:今回使用する同期&マルチトラック自動構築ツール(GitHubよりダウンロード可能 https://github.com/satoyukikimijima/UltimateSyncApp )
FFmpeg & ffprobe:動画の無劣化・超速結合処理に使用(インストールは次の記事を参照して下さい。https://qiita.com/Tadataka_Takahashi/items/9dcb0cf308db6f5dc31b 又FFmpeg.exe と ffprobe.exe のファイルは Python のフォルダにコピーしていれてください。)
編集をスムーズに行うために、現場での収録時に以下のルールを徹底します 。
タイムコード(TC)の統一:カメラとEDIUSのTC設定を「DF」または「NDF」のどちらかに完全統一する。
確実なシンクポイントの作成:各カメラの録画を先行して回し、ATEMのSSD録画開始を確認した後、全カメラの基準となる目印を入れます。
理想は全カメラに対する目印ですが、カメラが離れている場合は単独のカメラの前での目印でも大丈夫です。
4Kカメラ とAtem で収録した同じカメラのファイルとの同期が簡単に取れる事が必要です。
例: ストロボ発光、カチンコ(またはクリップ音が出るもの)、全カメラから見える位置でのTC画面表示など。
💡 プロの視点: このアナログな「物理シンクアクション」こそが、後に4Kオリジナル素材とATEM収録データを1フレームの狂いもなく合致させる「最大の要」となります 。
現場から戻ったら、まずはデータのバックアップとXMLの抽出を行います 。
分散コピー:各カメラのSDカード、およびATEMのSSDデータをPCへコピーします。転送速度と後の処理速度を考慮し、可能な限り物理的に別々のHDD/SSDへ分散させるのがプロの鉄則です。
DaVinci Resolveの起動:ATEMで生成された xxx.drp を開きます。
タイムコードの初期化:タイムラインのスタート設定を 00:00:00:00 に変更します。
XMLエクスポート:「FCP 7 XML V5 Files (*.xml)」形式でタイムラインを書き出し、DaVinci Resolveは終了します。
ここからEDIUSを立ち上げ、新規プロジェクトを作成します。この工程で**「各カメラの録画ボタンを押したタイミングのズレ」**を数値化します 。
各カメラのオリジナル4Kクリップと、ATEMのクリップをBINに読み込みます。(視認性を高めるため、同系統の色分け推奨)
V1にATEMのクリップ、V2に4Kカメラ(CAM 1)を配置し、STEP 1で作った「シンクポイント(ストロボやクリック音)」を頼りにフレーム単位で同期させます。
ズレの計測:ATEMクリップの開始位置(0秒地点)にカーソルを合わせ、Shift+C して、4Kクリップの開始点からの「差(Duration)」を読み取り、メモしておきます。
これをCAM 2、CAM 3でも同様に行います。
⚠️ 注意: 1時間半を超えるような長尺収録の場合、ATEMやカメラの仕様によってファイルが複数に分割されています 。この後の工程で、ツールがこれらを無劣化で1本に結合します 。
UltimateSyncAppV13.py 起動時の画面
それぞれの項目に入力する
ここで独自ツール UltimateSyncAppV13.py の出番です 。
ツールの起動:Python経由でアプリを立ち上げます。
XMLとTCの指定:STEP 2で書き出したDaVinciのXMLを選択し、プロジェクトのTC(DF/NDF)を指定します。
ファイルとズレ量の入力:
各カメラ(CAM1〜3)ごとに、分割されている4Kファイルを順番に選択します。
STEP 3でメモした「ズレの数値」を入力します。
並列処理による超速書き出し:
出力先を各カメラごとに別々のSSD(M.2等)に指定することで、FFmpegによるマルチスレッド並列結合がフル稼働します。
(実測例:約50分・合計118GBの4Kファイル3本を同時並列で無劣化結合完了!)
処理が完了すると、ファイルの結合と同時に**「完璧な同期情報が計算された、新しいEDIUS用XML」**が自動生成されます。
先ほど自動生成された新しいXMLをEDIUSにインポートします 。
すると、タイムライン上にカメラごとにV1、V2、V3...と美しく「階段状」に並んだマルチトラックが展開されます!
タイムコードのズレも、ドロップフレームの計算も、分割ファイルの継ぎ目も、すべてプログラムが完璧に処理済みです。
最後に、別途収録しておいた高音質の音声クリップなどを手動で配置すれば、同期作業は完全終了です。あとは本来のクリエイティブな「スイッチング・編集作業」に100%没頭できます 。
本ツールには、プロの現場向けの「バッチ用(JSON)保存機能」が搭載されています 。 休憩を挟む2部構成や3部構成の長尺イベントなど、複数のプロジェクトが存在する場合、事前に設定だけを済ませて .bat ファイルを作成しておけば、就寝中に何本でも一括で連結コピーとXML変換を全自動で終わらせることも可能です 。